よもやま話β版

よもやま話を書きます。内容はぺらぺら。自由に書く。

お茶のオンラインレッスンと昔の思い出

小学生〜中学生の間、公民館で実施されていたM師範の煎茶教室に通っていた。ご近所に住む一つ上の学年の三名と、自分と、M師範のお孫さんとが主に参加していたのを覚えている。手順やお作法を間違えると、結構厳しいお言葉をもらうことになるので、通う日はちょっと気分がブルーになることもあった。しかし、実際に淹れた煎茶と季節のお菓子は本当に美味しかったので、「煎茶道」は素敵なものであるという印象が自分のなかに強く残ることになった。M師範が厳しく伝えていた手順も、大人になって振り返ると、ひとつも無駄を許さない合理的なものだったことに気づいた。煎茶道には機能美があると思う。

ずいぶん昔のことを思い起こしたのも、最近、かとりえ@katorie さんがオンラインの煎茶のレッスンをされていると聞いたからだった。久々にやってみたいと思い、お願いすることにした。

事前準備、いろいろ送ってもらう

なんと、茶葉に加えて急須とお茶碗、それにお菓子まで選んで送っていただけた!

シンプルは美しい

急須は取手部分がなく、シャープでカッコいい。お茶碗はちょっと大きめかなと感じたが、過去に自分がやってたときは五客でワンセットだったので小振りだったのだろう。小さいのも可愛くて魅力的だが、ひとりで淹れるのに五客あっても困るので、ちょうど良い。お菓子は一回分だけかなと思っていたら、玉露の四回分に合わせてか、多めに送ってもらえた。
また、昔通っていた煎茶教室では、懐紙と菓子切りと三百円を持参するのがルールだったことを思い出し、準備してみることにした。近所で懐紙と菓子切りを取り扱ってる店に思いあたりがなかったので、事前にネット通販で注文した。まったくもって便利な世の中だなぁ。

懐紙と菓子切り

ひとつやらかしたこととしては、お盆の準備をしていなかった。煎茶教室では、お盆はすでに準備してもらえるものだったので、すっかり忘れていた。(言い訳)

当日、お話しながら美味しいお茶を淹れる

茶器類をテーブルに出し、Zoom通話しながら、かとりえさんに改めて淹れ方を教えてもらった。事前に自分が小さい頃に煎茶教室に行っていたことはお伝えしておいたこともあり、「昔こうだったかも」という朧げな知識を、会話の中で改めて「お茶を美味しくするための理由」と紐付けてもらえた。 例えば、M師範が一等厳しかったのは「お茶を注ぐ時、急須を揺すって雫を出そうとしてはいけない」ということだ。ちょっとでも急須を持つ手が上下にブレるとお叱りをいただいたので、とにかくそれが絶対にダメな行為であるということは強く覚えているが、理由が不鮮明だった。実はそうすると、苦味・渋みが余計に出てしまうらしい。

また、一旦沸いたお湯を、お茶を淹れるための適温になるまで待ったり、お湯を入れてから蒸らしたりといった「美味しいお茶」にする"時間的コツ"がいろいろある。今回はかとりえさんが時間を測ってくれたり、温度計(これもセットで送ってもらえる!使ったの中学校以来かも…)でベストなタイミングを指示してもらえたのでとても助かった。

お湯の温度を測る様子
懐かしすぎるこの感じ

実際の煎茶の席では、タイマーを使うことはなくて、その間に何をしていたかというと、茶葉を炉で炙ったり、お茶碗をあっためたお湯を建水(けんすい)と呼ぶ鉢にゆっくり捨てるという動作が入っていた。それらも今考えると、お茶の準備をするという意味と、お湯・蒸らしの適温のタイミングを待つという意味もあったのだという気づきがあった。

また、かとりえさんのやり取りの中で、少しずつ「自分が習っていたものとは違う」発見もあって面白かった。懐紙を一枚だけ取って、束の一番上に乗せ、そこにお菓子を置く。というのは同じだったのだが、かとりえさんは四つ折りにするとのことだった。自分がやっていたときは、二つ折りで、しかもキッチリ折るのではなく少しズラして折るべしと教わった。こういうのがいわゆる「流派」の違いというやつなのだろう。残念ながら無自覚に教室に通っていたので、自分が習った流派の名前をさっぱり覚えていない。あれは何流派だったのだろうか…。(当時教えてくださったM師範、大変申し訳ありません...。)

お茶をいただき、お菓子も食べる

ベストタイミングを教えてもらって淹れたお茶は、旨味が出ていてとても美味しかった。ただの「苦味」というわけでもなく、だからといって出汁のような味でもない。残念ながらベストな語彙を持っていないので、お茶としての「旨味」と表現させていただこう。「深み」と言ってもいいかもしれない。

お茶を一煎とお菓子
そう、こういう感じ

今時、本格を謳うペットボトル商品は多くあるが、やはり温度管理を徹底して手ずから淹れた温かいお茶には敵わないだろう。また茶葉も送っていただいた玉露を使ったので、その違いもあるとは思う。
また、自分の記憶には「煎茶の会をするならば季節のお菓子がなければならない」という法則が強く刷り込まれている。M師範の教室でも、いつもその月・その季節を象徴するお菓子をご馳走になっていた。梅雨頃には紫陽花を模した上生菓子、初夏には若鮎*1、という具合だった。

今回のオンラインレッスンでは、かとりえさんがチョイスしてくださった松江銘菓の「若草」をお茶請けとしていただいた。

商品紹介 | 創業明治7年 和菓子の彩雲堂
若草 | 日本47のいいもの【お取り寄せ】

松江銘菓 復刻 若草
甘い求肥のもちもち感を味わえる。一箱三つ入り

もちもちとした長方形の甘い求肥が、若草色のそぼろに包まれていて目に鮮やかだ。今の時期にぴったりの、春の新緑を感じるお菓子である。「季節感を大切にしていて、味わうことができる」のも煎茶道の魅力のひとつだ。

美味しかったです!

レッスンは二煎目までで、終了後にもう一煎淹れた時の一枚。

代わりにキッチンペーパーでなんとかしてはいるが、やっぱりお盆が無いのが残念ポイントだったので、早めに調達しようと思う。 色々と小さい頃の記憶が蘇り、背筋を正して思い出と向き合うことができた、なんとも感慨深い昼下がりのひと時だった。

かとりえさん、ありがとうございました! 他にも色々と企画があると伺っていますので、またぜひ参加させてください!

余談

すあま(猫・1歳半)が生まれて初めて見る煎茶に興味津々で、一煎淹れるのもまぁまぁ大変というのがわかった。

*1:求肥が鮎を模したカステラで包まれているやつ