よもやま話β版

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OKRの本を読んだら半分は小説だった話

社長はむちゃくちゃ本をたくさん読んでいて、良いと思ったものが時々社員に向けて課題図書として降ってくる。自分の席には既に4冊ほど積まれている*1のだが、先日最優先としてOKRの本を紹介された。結構読みやすくて、kindleで電車の移動時間などでサクサク読み終われた。

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
https://www.amazon.co.jp/dp/4822255646/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_ob-WBbP7PKPHG

 

OKRとは何ぞや

Objectives and Key Results の頭文字をとって略したもの。Objectivesは`目標`、Key Resultsは`主な結果` と翻訳されている。

原著タイトル 「Radical Focus: Achieving Your Most Important Goals with Objectives and Key Results」が示す通り、OKRは根本的な部分に注目してゴールを達成することを助けてくれるツールであるようだ。

O(目標)は定性的で、人に刺さるような、心に響くものを1個。

対して、KR(主な結果)は数字ではっきりとわかる定量的なもので、達成がすこし難しそうだと思えるものを2~3個用意する。

具体例はぜひ本を参照してください!

 

どうやって使うか、運用するか

この本にはOKR自体の説明とセットで運用方法の詳しい解説もある。道具を持っていても使い方を間違えていてはうまくいかないので、とても合理的だと思った。

ぱっと書き出してみてもこれだけのエッセンスが詰まっている。

  • OKRの決定方法。チームへの意見の出させ方、まとめ方。付箋を使うなど。
  • OKR設定の粒度。OKRは全社から個人までそれぞれ適用することができる。
  • 4半期のOKRを掲げ、毎週、適切に進んでいるかどうか確認すること。
  • 週で設定する「やらなくてはいけないこと」は2~3個。フォーカスせよ。
  • 実施した結果、現在、KR達成にどのくらいの自信があるかを評価する。
  • OKR達成のためにおろそかにしてはいけないことがちゃんと守れているか確認する。
  • 金曜日にチーム全体で出来たことを共有してお祝いする(ウィン・セッション)。
  • 全体的に前向きな表現、発言、行動になるようにする。
  • 最初は絶対失敗すると思え。

 

50%は小説仕立て

上記で書いたエッセンスの解説は第2部で行われている。

本の第1部として掲載されているものは、架空のスタートアップ企業「ティービー」が苦しみの後にOKRに救われるという筋書きの小説である。ビジネス書では珍しい構成なのでは。

自分は正直なところビジネス書より物語のほうが好きなので、第1部を楽しく読み、第2部の理解に役立てることができたと思う。

 

2人のエンジニア

小説には、物語開始時点から主任プログラマーであるエリック、後半にCTOとなるラファエルという2人のエンジニアが登場する。

 

主任プログラマーエリック

主任プログラマーであるエリックは、ティービーの掲げるビジョンに共感して入社したが、会社が成長のために舵を切っていく方向に不満を持つ。そしてその結果、ソースコードをわざと難しく書き直すという行動にでる。

おいちょっと待て?自分がメンテしてるものを難しくしてくとか自分の首絞めてるだけでは??ん???

立場的に自分はエリックに近いものを感じているが(少人数スタートアップに在籍、プログラマー)、これにはまったく共感できなかった。ソースコードがたとえ難しくなったところで、困るのは自社内のプログラマー達自身であり、サービスを利用しているエンドユーザは使用感さえ変わらなければ気にしないだろう。

とはいえ、長期的に見ると難しいコードは仕様変更に耐えられない、つまりユーザによりよい価値の提供速度が遅れると言えるので、会社にとって間違いなくマイナス要素である。こういう事態をしでかしたエリックがどうなるのかは……お察しください。

 

CTOラファエル

また、物語の後半から突如登場するラファエルは、一見してギークとわかる雰囲気を持ち、これまでもスタートアップで実績をあげてきていて、Googleに在籍した経験があり、上場直後の会社を退職してきて、投資家経由で紹介されたティービーのビジョンを最高に気に入ってジョインしてくる。もちろんOKRの導入のノウハウを充分に持っている。

なんだそれは!?ウルトラCすぎんだろ!!!そんな人がホイホイでてきてスタートアップにジョインしてくれる??は??夢物語か??

ラファエルが出てきたシーンを読んでひとしきりそう思ったあと、あっこれ小説だったわ、ということを思い出した。

 

あくまでも解説書

やっぱりあくまでもOKR解説のための小説なので、ラファエルが登場してからの成功体験を駆け上がる感じの場所はご都合感があった。しかし、スタートアップ企業がビジョンと現実の間で苦しむ様子がすごくリアルで、読んでいて自分まで苦々しい思いを体感させられた。

OKR気になっている人、読みやすい一冊なので、ぜひ一読して欲しい。

*1:もうちょっとで1冊目読み終わるから待って!!!